タウンマガジンいごき(1)平・田町某店


 

いわきでめっちゃ「いご」いてるお店を探して、実際に遊びにいき、そのお店で過ごす時間をめいっぱい楽しみ、そして、ついでにその模様を紹介しっちゃおうという企画、その名も「タウンマガジンいごき」のコーナーです。超絶元気な方が運営するいわきの地域資源を、さりげなく、いや最大限誇張して紹介していきます。

第一回はですね、いわき市職員の皆さん御用達の田町ですよー田町。田町といえば、誰が言ったか知らないけれど、住民一人当たりの飲み屋の数が日本一だとか、半径1キロメートルあたりのスナックの数が日本一?とか、伝説みたいに言われていますが、とにかくいわき最大の飲み屋街です。小さなお店が乱立するいわきの不夜城。今日の舞台はこちらです!

 

いわきの不夜城「田町」。出会いと別れ、哀愁と人情のまち。

 

某情報筋から「田町に、お通しでカレーが出てくるバーがある」という情報が入りまして、編集部一同、とにかくまずは行ってみっぺと。本当にお通しでカレーなんて出てくんのかよ。出なかったらクラスケっかんなおめぇ〜という感じで冗談を飛ばしつつ、ふらりとそのお店に行ってきたのですが、、、、

 

 

あらびっくり、超絶本格派のウイスキーがきれいに並んでおります。

ブランデー、シングルモルト、さらにはけっこうレアなアレやコレなど品揃えは豊富で、ウイスキーについて、店主のアイちゃんが詳しく丁寧に説明してくれます。アイちゃんはこの道30年を超えるベテランママ。立ち居振る舞いがお上品で無駄がなく、それでいて優しさと、そこはかとない重みが感じられます。こちらも背筋を伸ばしたくなるようなキリっとしたママでした。

 

淑女アイちゃんが切り盛りする田町の名店。

 

ウイスキーやブランデーに関する知識がハンパではないアイちゃん。

 

アイちゃんのウイスキーに関する情報量はハンパではありません。こっちの好みを言えば、もう地球1周半くらい先回りしてニーズを聞き入れてくれ、ドンピシャのウイスキーを選んでくれます。お店のほうはコンパクト。カウンターの席は7人くらいでしょうかね。カウンターに加えて大きなテーブルがあり、そちらは団体さまもオッケー。

取材班各々、ウイスキーやビールを頼んで、お通しが来るのを待ちます(そういえば、メンバーの一人が近くの酒屋にノンアルビールを買いに行った)。アイちゃんによると、今日のお通しは「カレー」ではなく「牛スジの煮込み」とのこと。なんだよ、やっぱカレーじゃないんじゃん。ウソじゃん。カレーだって言ってたの誰だよ。牛スジの煮込みなんて普通の和風居酒屋じゃん、どこにでもあんじゃん。ほんとテンション下がるわ、ちぇーーーっ!

煮込みズドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

お、おれの想像してた「牛スジの煮込み」と違う。こ、これ、レストランで出て2000円とかで出てくるやつや。デミグラスソース。超絶おいしそう、じゅるり。

しかもボリュームハンパない。「男の子たちはこのくらい食べられるからみんなで取り分けて食べて。わたしもこんな年(非公開)ですから、お客さんみんな手伝ってくれるんです。お皿も取ってくれるし、料理も回してくれるし。最近の若いコたちはみんな動いてくれますよ。さっきもノンアルコールのビールありがとね」とアイちゃん。

はい、わかりました。自分たちで取り分けまさぁ!

 

デミグラスソースでじっくりと煮込んだ究極の牛スジ(お通し)。

 

いやあ、お通しにしては胃にしっかりと主張する旨味。牛スジはほろほろに煮込まれていて、口のなかでじゅるりと溶けていきます。そして、その肉の旨味がしみ出たあつあつのソース。うわ、これパンにつけて食べたらヤバいんじゃね? このソースまじでうまい。何杯でもイケる!

冷静に考えてみ? お通しでこれ。お通しでこれだから、次から来る料理、絶対ヤバいから。もうほんとに期待で胸がワクワク。

何が来るんだと期待していたら、「とりあえず落花生でも食べて待ってて下さい」ということで、落花生を食べ、そして茹でたアスパラが出て来て(これもすげえうまかった)、少しずつ気づいていくんです。「この店、マジでほんとに料理うめえ(ウイスキー飲むの忘れてる)」って。

 

絶妙のタイミングで供される乾きものたち。

 

ただのアスパラのはずなのに、クソッ、なんでこんなに滋味深いんだ!

 

そして3品目、ズドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

まじで「人生で一番うまい」レベルのハンバーグ。ほんっと、やわらかい。やさしいの。

 

一同、うますぎて言葉を失う。「うっめ・・・・」「うっわ・・・」とか言って、3分くらい黙りこくってしまうんですね。そして、その3分後には皿がきれいになってる。肉の塊が本当にふわふわで、それでいてじんわり肉汁が閉じ込められている。それなのに胃に重くない。意外とさっぱりしてるんです。なにこのハンバーグ。こんなはじめて♡

あれ、おれはバーに来たはずなのに、ここ洋食屋だったっけ? と、自分の存在が不確かになるほどのうまさ。写真撮るの忘れちゃったんですが、実はこのハンバーグの後、焼いたパンが出てきました。わざわざ東京から仕入れてる食パンで、そちらもうまい。ハンバーグのソースを塗り付けて頂きました。サックサクのフッワフワ。

あまりに常軌を逸した美味さなので、「料理を学んでたんですか?」と聴いたところ、実はアイちゃん、お嫁に入ったのがたまたま料亭をやっているところで、そこで嫁をやりながら、ひたすら料理を作り続けてきたのだそうです。当時は、学校給食や仕出しなどもやっていたそうです。高級食材だけでなく、限られた食材で最高のうまさを引き出す、そんな術を学んだんでしょう。とにかく出てくる料理がみんなうまいの。

 

ただひたすらに食っている取材陣。というか取材ではない。ただの食事だ。

 

で、そうこうしてるうちに、台所のほうから香ばしい匂いが漂ってきて、あれ、なんの匂いだろう、この焦げの匂い、これ餅じゃね? ウイスキー飲みながらモチかよ!! なんだよこの店超ウケるゥゥゥゥとか言ってたら、本気でうまそうな磯辺焼きがイン。

 

ポン酢で味が整えられた至極の海苔もち。びっくりするくらいうまい。マジで。

 

男性客にはちゃんと腹一杯ご飯を食べて欲しいので、冷凍してパックして常に在庫しておくんだそうです。焦げつかないよう、薄く油をフライパンにしいて、そしてじっくり焼き上げる。だから冷めてもモチモチ。しかも味付けが「ポン酢」なんです。

 

餅ワ醤油ダロ! ホワイジャパニーズピーポー!!  ホワイ!

 

って思わず突っ込もうかと思ったんですが、みんな、「あっ、おいしい♡」状態。

考えてみ、牛スジ煮込み、落花生、アスパラ、ハンバーグ、パン、餅の順番。おれたち肉と炭水化物しか取ってねんだがんね。しかも、ほんと、男子が好きそうな料理ばっか。なるほど、この店は、男子の夢を詰め込んだ店だったか! いやあ、もう食わんにいど、はらくっちー、なんって言いつつアイちゃんと世間話をしてたら、

 

なんとシメのカレーライスがイン。

 

例えるなら、ストレートとカーブだけでバッタバッタと切って取る江川卓的「本格派」のカレー。

 

もう食べられないっすよ、お腹いっぱいだし胸もいっぱいだし。じゃあちょっと味見だけ・・・・。

 

 

はうっ! このカレーは!!!! この辛さはっ!!!

『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部にトニオ・トラサルディって料理人が出てくるじゃないすか、で、仗助と億泰が食事をしてるんだけど、

 

クセになるっつーか、いったん味わうと引きずり込まれるカラさっつーか・・・・・例えると「豆まきの節分」の時に年齢の数だけ豆を食おうとして、大した好きでもねえ豆をフと気づいたてみたら一箱食ってたっつカンジかよぉ〜〜〜〜〜〜っ!(虹村億泰)

 

 

ウンまああ〜〜〜いっ!!!! (ズキュゥゥゥゥゥゥゥン!)

 

的な。

すごいんです。カレーライスというより「ライスカリー」と呼びたくなるような、玉ねぎから作り込んでますという甘味、複雑なスパイス、芳香、そしてなにげに「白飯」が好み。直球ズドンと、どストライク。ほんと、全盛期、作新学院時代の江川の “浮いてくる” ストレート。あれだ。

そしてこの店、本格的なバーなんだけど、本格的な洋食屋でもある。事前に電話するとアイちゃんがおいしい料理を作って待っててくれるそうでえす。本当に素晴らしい店でした。そして、アイちゃんが本当に親身になってお話を聞いてくれる。アイちゃん「ため口」を一切使いません。話し振りもテキパキしていてとても気持ちが良い。しっかり「おもてなし」をしてくれるんです。

 

 

もちろん、本格ウイスキーもじっくり楽しめます。個人的には、次回は取材抜きで、スモーキーで臭みのあるスコッチをじっくりと楽しみたい。できれば一人でこの店を訪れ、アイちゃんの昔話に耳を傾けながら、じっくりとトワイスアップでシングルモルトを味わいたいと思います。ぜひ皆さんも足を運んでみて下さい。めっちゃ「いご」いてるお店です!

どうしてもお店に行きたい人は、編集部まで連絡を。

 

●お店情報
店名:某店(さがしてみてね) 
場所:平田町某所
名物:アイちゃん、カレーライス、ウイスキー
いごく指数:★★★★★★★★
うまい指数:★★★★★★★★★★★


公開日:2018年04月10日