先生にヨガの大事なポイントを伺うと「呼吸」だという。「鼻から吸って口がら吐くの。できるだげ体の動きを合わして、ゆっくり、深くね。そうすっと体が倒れていぐがら。それがら時間かげでやっこどね。指さぎまで集中して動かさないと、ヨガにはなんねがんね」。
そんなアドバイスをもらう頃には、すっかり菅野さん、いや、菅野先生のファンになってしまってて、「はい、頑張ります!」と威勢のいい返事をしてしまう。先生、動きだけじゃなく、言葉にもどこか凛としたものがあって若々しいのだ。そして、年相応にゆったりとした動きなんだけれど、挙措には無駄がない。ちょっとなんというか、職人っぽさというか、達人ぽさというか、そういうものまで感じられるようになってしまう。ああ、もう先生のファンになってしまったようだ。
体操が終わったら「今日は若い人たちが来てるから歌を歌いましょう」と先生。準備された歌謡集から、2つ3つ童謡を選んで、みんなで歌うのだ。もうその頃には恥ずかしさはなく、お母さんたちや菅野さんたちと声を出しあった。なんだろう、昔懐かしいのとも違う。自分の婆ちゃんとの思い出というのとも少し違う。今、現在進行形のお母ちゃんたちと触れ合うということの新鮮さ。純粋にそれを楽しんでいるのだった。
お母ちゃんたちと、こうして体を動かして、先生にアドバイスされて、みんなで歌を歌って。初めての体験で、そして、汗をかいたこともあってちょっと爽快だったりして、みんなでお茶を飲むのがうれしくて。ああ、目の前のお母さんたちも同じように楽しんでんだなって気がついた。