小さな花壇で大きな交流

梅ヶ丘南団地21区ニコニコ会代表 佐々木寛さん


 

 

 

--JR四ツ倉駅の西側にある梅ヶ丘南団地。175ほどある世帯の多くは今から30~40年前にマイホームを求めてやってきた世代だ。21区ニコニコ会はその団地内の「支え合い活動」を担う団体。現在は13名のサポーターが登録している。11月7日(日)に芋掘りをすると聞いてやってきたが、まさか集会所の花壇にサツマイモが植えられているとは思わなかった。大きな交流の場を生む素晴らしいアイデア。代表として精力的に活動する佐々木寛(ささき ひろし)さんにお話を伺った。

(文・写真/江尻 浩二郎)

 

 

 

 

 

 

きっかけはいわき市が進める「住民支え合い活動」だね。この地区も非常に高齢者が多くなったということでどうすればいいのかなと。いろいろ区長さんと考えて企画したんです。とにかくサポーターさんを集めないと始まらないんですね。

 

俺と区長さんと二人で、やってくれそうな人にとにかく話してみようということで、お互いに最初6人ずつ見つけて、12名で立ち上げました。俺は民生委員で、区長と民生委員がちょうど意気投合して始まったからできたんです。

 

まずは声かけをして、高齢者同士の絆を少しずつ深めていった方がいいだろうということで、サポーターさんも近い家でいいから周りに声をかけてくれと。それで1ヶ月にいっぺん会議を開いて、ああすればいいべ、こうすればいいべと色々考えたの。

 

で、考えついたのが、この草ぼうぼうで何も植わってない花壇、これを何かに使えないかと。じゃサツマイモ植えようってことで、それから企画して始まったの。それが2年前。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このサツマイモも苦労はありました。ど素人ですから。うちの妹がちょうど植田の方で大きな農家をやってるから、そこに行って、どうやればいいんだとか、こうやればいいんだとか聞きながらやって。じゃあ苗だの何だのは準備してやっからと言ってくれて。

 

1年目の出来は今年の半分ぐらいだったかな。2年目も半分ぐらいだった。だから今日はよく獲れました。牛糞をたっぷり入れたのがよかったのかな。うちは米農家ですから籾殻が出るんですね。籾殻を牧場主が持っていくんです。その見返りとして牛糞をいただいて。会員で行って、袋詰めして積んできて、それをここに入れて、元気な人で耕して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は小学校2年生から96歳まででしたけど、いままではもっと小さい子もいたんです。今日は幼稚園で行事か何かあったのか。幼稚園児がいるともっとキャッキャキャッキャ盛り上がるんですけど、今日は大人しいほうでしたね。

 

本当はコロナでなかったら夏休みもベーゴマとかカルタとかすごろくとかやろうとしてたんです。それも企画したんですけどコロナで無理だなと言うことになって。ただ芋掘りは外だから大丈夫なんじゃないかと。

 

 

 

 

ここは昭和53年にできた団地なんです。それからもう43年過ぎてますから、当時30歳40歳の方が超高齢者になって。

 

ここの地区の人は関係が希薄で、交流が少なくて、それをなんとかこう結びつけようという気持ちなんですね。高齢者同士で挨拶もないぐらいだったんです。今は声かけしてお互いに意識するようになったから、どうだい?元気?っていう言葉も日常で交わせるようになった。前はなかったんです。素通りって感じ。隣組は知ってても、そっちの隣組の人は全然分かんない。

 

 

 

 

 

でもこういうことをやってみると、当然ね、だんだん交流ができてくる。「いきいきサロン」もコロナでなかったらすごく盛況なんですここは。でもこの集会所が(コロナ禍で密を避けるため)12人以上はダメだっていうことになって、それで結局しぼんじゃって、ひところは37名も集まってたんですよ、高齢者が。

 

 

 

 

リズム体操っていうのがあって、太鼓を叩くのが基本なんですが、太鼓は高いし手が出ないので、竹筒でなんとかなんないかなと、これもアイデアとしてやったみたものなんです。両手、右手、左手、バチってあって、それをこう唱歌の歌詞につけていってね。みんなで叩きながら唄うんです。楽しいんですよ。

 

 

 

 

 

竹筒を置く台もダンボールで作ったんです。工夫してね。なんでも自分たちで作るんです。竹筒の大中小でチームを分けてね。合奏するんですよ。太鼓の曲を参考にしてね。練習していくと楽しいかなと思って。

 

 

 

 

 

 

余った竹で竹とんぼも作りました。その他にも福笑いとか、すごろくとか、あとは「ボッチャ」。障がいをもった人のスポーツありますね。あれをヒントにしてね。女の人にお手玉作ってもらって。手縫いで。これも子ども達とできるかなと思ったんですが。来年はね、できるんじゃないかと。それが楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 

俺はもともと四倉で、常磐交通のバスの運転手。まさかこういう世界に入るとは思わなかったです。自分が大きな病気して、いつ死んでもおかしくないなと思った時があったんです。心筋梗塞で。でもまだ死ぬのは早いっていうことだったのか、神様が助けてくれたんですね。

 

 

 

 

じゃあこれは人の為に何かやらなきゃなと思って。そんな時にすぽっと民生委員の話がきて、じゃあやってみようかとやってみたのがもう11年前。今年で12年目になります。元気なうちはと思って、一生懸命やってるだけですけどね。

 

ああ、でも今日は本当はコロナでなかったら炭火を用意して焼きながら交流したかったんですけどもね。芋煮もやりたかった。でもコロナでできないです。せっかくこうして子ども達と交流ができる場ができたのになあ。まあそれは来年の楽しみにとっておくしかねーべね。

(終)

 

 

 


公開日:2021年11月10日

佐々木 寛(ささき・ひろし)

梅ヶ丘南団地の支え合い活動を担う団体「21区ニコニコ会」代表。現在13名のサポーターが登録し、「まず声を掛け合う」ことを大切にしながら、創意工夫に富んだ交流活動を精力的に行っている。