いわき市西南部の最奥の集落である、田人町貝泊。そこにも、地区の集会所があり、地域の健康と食を支える「つどいの場」として機能しています。月に1回のつどいの会が企画され、「指圧教室」などのレクリエーションがあるほか、スーパーの移動販売車による販売もあります。
指圧教室では、佐糠町に「みどり整体院」を構える緑川恵さんが講師を務め、ストレッチの仕方や関節のマッサージの仕方、指圧のコツなどについてレクチャーしていきます。自分の体を自分でメンテナンスすることも健康の秘訣です。みんな押し合いさすり合いしながら学びます。
日常的に動かしておかないと、想像以上に関節は固くなり、固くなったところから血液の流れが滞り、慢性的なコリへと悪化してしまいます。5分でも10分でも体を動かし、ストレッチやマッサージを続けていくことが重要だと言う指摘に、皆さんうんうん頷きっぱなしでした。
指圧教室が終わる頃には、スーパー「イトーヨーカドー」の移動販売車がやってきます。お隣の荷路夫地区に回ったあと、正午ごろにこの貝泊へとやってくるのが通例。トラック1台分ですが、必要な食材や生活雑貨が充実していて、貝泊になくてはならないインフラとして機能しています。
貝泊のような山間地域の集落は、人口減少と高齢化がもたらす多くの課題に直面しているものの、それは裏を返せば「課題が先進的に進んでいるところ」でもあり、この地区のインフラや健康をいかに支えるかが、多くの人たちの未来を考えることに繫がります。
地域の人たちの健康をみんなで支え合いながら、慣れ親しんだ家で最期まで生ききる。そのためには、そこに暮らす人たち、商売をする人たちが少しずつ「のりしろ」を作るように、少しだけ頑張ってみることも必要です。貝泊は、その意味でも「先進地区」なのでしょう。