買い物のまわりにあるもの

泉ヶ丘買い物支援事業への取り組み


 

 

この記事では、まず取り組みの概要をやや詳しく説明し、そのあとで10月26日に行われた第4回目の実証事業とその振り返りの様子を報告します。ご興味のあるところだけでもぜひお読みください。

 

 

 

買い物に行けない

 

いわき市泉ヶ丘地区(泉ヶ丘ハイタウン)は地区内に生鮮食料品や日配品等を扱うスーパーや小売店がなく、日常の買い物がたいへん不便となっています。そこで、移動手段とあわせて、買い物に出かけることへの動機づけや買い物を支援するサービスを提供し、住み慣れた地域で、高齢者がこれからも安心して暮らせる生活環境を整えたいと考えています。

 

泉ヶ丘ハイタウンは1980年代に造成された住宅団地で、県内や首都圏から移り住んだ約1,800世帯、約4,600人が暮らしていますが、約440世帯は高齢者のみの世帯となっています。駅や銀行、市民サービスセンター、スーパーなどといった施設に向かうには高低差が多く、徒歩での移動は困難です。路線バスも便が減ったため、移動手段を持たない住民の買い物などが地区の課題となっています。

 

以前は同地区内に商業施設等がありましたが現在は閉店。歯科医院や美容室、学習塾などが残る程度です。これまでに運送会社の買い物支援が導入されたこともありましたが、現在は移動スーパーが限定的に提供されているのみです。

 

一人での買い物や外出が困難となることで閉じこもりがちの生活になることも懸念されています。また、バスで行くことができても、帰りは荷物が多いためタクシーの利用となり、そのため経済的な負担も大きくなるようです。

 

実証事業を実施するまでの経過としては、まずニーズを把握するため、地区に居住する75歳以上の単身高齢者(要介護認定なし)を対象に、民生委員および地域包括支援センター職員の戸別訪問による聞き取り調査を実施しました。買い物やゴミ出しが困難という意見が多く聞かれましたが、その中でも「食」という生活を支える部分に直結する買い物について支援策を検討することにしました。

 

小地域ケア会議(★)にて協議した結果、福祉事業所の人的資源と物的資源をご協力いただけることになり、泉ヶ丘地区自治会、第5方部民生児童員協議会、地域福祉事業者、小名浜地域包括支援センター、小名浜地区保健福祉センター等が協働してこの課題に取り組んでいくことになりました。

 

概要としては、事前登録している高齢者宅に福祉事業者の福祉車両が迎えに行きます。健康状態や住宅環境を確認します。乗車支援し、買い物店舗まで送ります。買い物後に自宅まで送り、荷物を一緒に運ぶなどの支援をします。その中で生活相談などの対応を行うとともに、参加者同士のつながりや福祉事業所との交流なども一体となって提供できればと考えています。

 

今年7月から話し合いを重ね、いよいよ10月から実証事業を行っています。毎週火曜日の10時~11時で計4回行いました。以下は第4回目となった10月26日(火)の様子です。

 

 

 

買い物お手伝い号が行く

 

 

 

この日は特別養護老人ホーム「寿限無」の車両やスタッフにご協力いただきました。あいにくの雨模様ですが、関係者が集まり、新調したステッカーを車両に貼り付けて、まずはお迎えコースの確認をします。

 

 

 

 

 

 

1名所用で欠席となり、今回は3名の参加です。みなさん泉が丘ハイタウンでお一人暮らし。順番にお迎えします。4度目ということもあり、リラックスした雰囲気。顔を合わせれば笑い声が響きます。荷物を持ったり、傘をさしたり、乗り降りをお手伝いしたり、検温したりしながら「お買い物お手伝い号」は団地を進みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

店舗としてはマルト泉店様、ヨークベニマルいわき泉店様にご協力いただいております。1、2回目がマルト泉店、3回目と今回がヨークベニマルいわき泉店です。2階駐車場から店内に入りました。運営に参加している各団体の方々もお出迎え。

 

 

 

 

 

さっそくそれぞれお買い物。野菜、パンなど、思い思いに買い物を楽しんでおられたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物が一息つけばスタッフとも談笑。娘さんが作ってくれたマスクの飾りが素敵で、その話題でひとしきり盛り上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

買い物のまわりにあるもの

 

今回は4回の実証事業の最後ということで、少しお時間をいただき、参加者交流会という形で、感想やご意見などもいただきました。ヨークベニマル様のご厚意でフードコートの一角をお借りすることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、日時や頻度についてですが、「毎週のほうがありがたい」「午前中のほうがいい」「毎週火曜午前などと決まっていたほうが他の予定が立てやすい」などの意見が出ました。

 

2店舗あったことについては、「扱ってる商品が違うからいい」「どこに何があるか分からなくなってしまう」「慣れない店ではどこに何があるかなど、ちょっとお手伝いしてもらえると助かる」「でも自分で探すのも頭使ったりしていいんじゃないか」という話が出ました。なるほど。面白いですね。

 

よかった点については、「つきあいが広がっていい」「利用者同士でも笑顔をみると嬉しくなる」「買い物が終わればベンチやフードコートなどで話したりもできていい」などの意見がでました。中でも印象的だったのは「買い物っていうだけじゃなくて、出て歩くきっかけになる。身体を動かせるということ。そっちのほうが自分には大事」という意見で、はっとさせられました。

 

最後は、もしこの事業が本格的に実施となった場合参加を希望するかという質問でしたが、みなさん即答で「参加!」とのことだったのでスタッフの方々も笑顔、また笑顔の交流会でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物自体ももちろん大切ですが、それを通して、出会いがあったり、運動になったり、頭の体操になったりする。そしてなにより外に出るキッカケになるのだということ。一つの入口から多くのメリットが確認されました。

 

来月(11月)以降、参加者も交えて本格的に実証事業の検証がはじまります。その様子はまた改めてご報告していきたいと考えています。

 

 

 

 

======

★ 地域住民と専門職が一緒になり、支援を必要とする人に関する情報や支援方法等、さらには地域課題の解決等について話し合い、連携を図っていく場。

 


公開日:2021年10月28日

泉ヶ丘買い物支援事業

移動手段の提供とあわせて、買い物に出かけることへの動機づけや買い物を支援するサービスを提供し、住み慣れた地域で、高齢者がこれからも安心して暮らせる生活環境を整えていこうという事業。