いわき市では、地域の「集会所」を利用して「つどい」を開催していまます。
つどいの形式は、みんなで体操をしたり、健康についての講座に参加したり、レクリエーションをしたりとさまざま。なにかと孤独になりがちな地域の高齢者の、文字通り「つどう」場を支えることで、地域を元気にしたいっ! そんな思いで運営されてきたのですが・・・コロナ禍で「つどい」の運営が難しい状況になっています。
救世主になり得るのがタブレット端末。学校の授業や会社の打ち合わせに「タブレット端末で参加」したという人は、結構多いはず。ならばいわきのシルバー世代の皆さんだってタブレットが使えるようになれば、オンラインでつどいに参加できるはずですよね。
地域の皆さんが自らタブレットを駆使できるようになれば、足腰の調子が悪くて今日はちょっと行けない、という人の安否確認にも役立ちます、何よより、写真を撮ったり、動画を家族に送ったり、zoomなどで離れた孫ちゃんたちとも交流できます。日々が面白くなりますよね! そこで今日は、内郷の高野町多目的集会所で行われた「オンラインつどいの場」の模様を紹介します。
オンラインつどいの場は、いわき市内の希望する集会所などにつどう皆さんに対し、1人1台タブレット端末を貸し出し、自宅で参加できるオンラインのつどいの場に参加してもらうというもの。全8回のコースになっており、最初の1回目は「タブレット教室」が組み込まれています。その後、2〜7回目まではシルバーリハビリ体操や介護予防の講話と続き、8回目に「まとめ」をします。
まず最初に、タブレット講座に参加します。この講座は、地元の皆さんにタブレットの使い方を伝授し、「オンラインつどいの場」の普及につなげようと開催されたものです。初歩的な使い方から、写真の撮り方、wifiへのアクセスの仕方、チャットアプリの使い方などを短期集中的に学びます。
ビジネスマンや学生のように、一発で「zoom」へログインしてオンラインのつどいに参加するというのはハードルが高そうですが、そこに至るまでの、こうした交流や学びこそが、つどいの大きな魅力です。みんな笑いながら、できたげ? うまぐいがねなあ、おお写真撮れだ! とコミュニケーションすることが、やっぱり楽しいんですよね。
会場の雰囲気もすごくよく、講師の皆さんのレクチャーやサポートも的確でした。少しずつ操作に慣れ、あれもやってみよう、これもチャレンジしたい、そんなふうにモチベーションがあがっていく様子を見て、こちらも楽しくなりました。高野からユーチューバーが出てきてもなんの不思議もありません!
では、この講座でタブレットの使い方を学んだ皆さん、どんなふうに生活に取り入れているんでしょうか。内郷町にお住いの渡辺さんのお宅にお邪魔して、そのタブレットを使い、リモートでシルバーリハビリ体操に参加される様子を取材してきました。
取材当日は大雨だったのですが、自宅に到着すると、渡辺さんは「大雨の中大変だったでしょう」と、温かく迎えてくださいました。こうした天気でも行えるのがリモートの利点ですね。
7年前に悪性リンパ腫の診断を受けたという渡辺さん。「今も生きていられるのがうれしくて、これ(リモートシルバーリハビリ体操)にもすぐ飛びついたの!」と話します。
そんなお話を聞いているうちに、シルバーリハビリ体操が始まる時間です。タブレットをつなぐと、他の参加者の方から「渡辺さんのとこは雨大丈夫かい?」と気遣う声が聞こえてきました。実際に地域の集会所で集まったら交わされるであろう温かい会話が、リモートで交わされます。つどいの場が開かれるのが難しい状況で、こうした地域のコミュニケーションが希薄になってしまいがちな状況ですが、リモートでも交流の場があることで何とか保たれている部分もあるようです。
この日のメニューは座って行う体操でした。最初は上半身を動かす体操から。胸や肩を伸ばして、肩こりを予防していきます。腕をあげるのがきつい時はできるところまで、各々のタイミングで休憩もはさみつつ、無理せず行っていきます。
休憩をはさんで、後半は下半身の体操でひざ痛や腰痛を予防していきます。画面の向こうの先生のお手本通り、体を前に倒します。
最後は大きく深呼吸を行い、シルバーリハビリ体操は終了。終了後は、参加者の皆さんで感想などを語り合います。画面の向こう側でも、こちらの笑い声が響きます。渡辺さんは「集会所で集まって体操する時の方が呼吸が合う感じがする」とおっしゃいますが、この時はリモートだと感じさせないような賑やかさで、集会所に集まって歓談をしているかのようでした。
リモートでのシルバーリハビリ体操には何度も参加していて「慣れている」という渡辺さん。すでにタブレットの操作にも慣れたもので、すいすいと使いこなしているように見えました。
集会所で初めてタブレットに触れた時は「こんなものがあるのか!」と、おっかなびっくりだったそうですが、渡辺さんのお家は、ご夫婦ふたりで暮らしているので、タブレットが来て大助かりだったそうです。最近では、旦那さんもタブレットに触れる機会が増えたようです。
「もっとこれを使いこなせるようになりたい。これと同じものを市で販売してくれないかしら! 娘や孫の顔がより大きく見られるだろうから、タブレットでもテレビ電話が使えるようになりたい」。そう話す渡辺さんの後ろには、娘さんとお孫さんの写真が飾られていました。
数年前に購入したスマートフォンで、週末に娘さんやお孫さんとテレビ電話をするのが何よりの楽しみだという渡辺さん。とにかく娘さんやお孫さんの顔が見たくて、娘さんの仕事が終わる頃を見計らって電話したところ「今は電車の中!」と怒られてしまったこともあるそう。
高齢者の方にお話を聞くとインターネットやスマートフォンに触れるのは、難しそうでハードルを感じてしまうということをよく聞きます。今回の取り組みはそうした方々にとって、そのハードルを越えるための後押しとしても機能しているようです!
渡辺さん、この記事もタブレットでご覧になっていることでしょう! 取材に協力してくださりありがとうございました。
公開日:2022年01月19日
オンラインつどいの場「おうちでつながる会」
いわき市地域包括ケア推進課による事業。感染症や熱中症に対する不安から、定期的に会場に集まることができないなどの悩みを抱えている団体のため、自宅で集まることができるオンラインつどいの場「おうちでつながる会」を開催している。具体的には、事業実施を希望するつどいの場団体に属する方に対して、実施期間中1人1台タブレット端末を貸し出し、自宅で参加できるオンラインのつどいの場に参加してもらうとともに、日常生活の中でもタブレット端末を活用してもらう。全8回。
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