認知症のおばあちゃんを演じるのは2年生の西村麻奈さん。亡くなったひいおばあちゃんに認知症のような症状があり、家族を困らせてしまったり、家族から怒られてしまうような場面を何度か目にしていたそうです。「認知症のおばあちゃんの役は難しいけど、役に対しての思い入れは強いです」と意気込みを語ってくれました。
部長の市村まどかさんは、将来は社会福祉の世界を目指す高校2年生。今回の劇にはキャストとしてではなく、演出の担当として参加します。その理由を聞くと「純粋に、客席から菅野先生の講演や劇を観たかったから」だそう。親御さんが福祉の仕事に就いており、以前から福祉の道を目指していたそうで、将来は言語聴覚士が目標とのこと。
つーかもう、ほんとみんなすげえな。こんな高校生いるんだな、私たちが高校生のときなんて「誰かの役に立ちたい」なんてこれっぽっちも思ってなかったな、などと複雑な思いを抱きながら、質の高い稽古を見させて頂きました。稽古なのに、なんかちょっと感動的なんです。
認知症というものに、そこまで切迫しているわけではない高校生たちと、私たちが持っている認知症に対するイメージの、その間にある「差」が大きいからでしょうか。ゆるやかに認知症を捉え、「愛すべき個性」のようなものとして受け止めてしまうような、そんな余白を演技から感じました。高校生が、現実のリアリティから離れた立場にいるからかもしれません。