

「ふくろう」は今日も元気です
「認知症になっても働くことができる場所」
内郷御厩町にある「にぎらないおにぎりカフェふくろう」は、認知症や介護が必要な状態になった方が、働くことを通して当たり前の生活を継続することができる居場所。
このサイトでも、「ひと」で経営されている長谷川正江さんを特集させていただいています。
働いて報酬を得る社会参加型デイサービス
社会参加型デイサービスとは…
介護サービスの提供時間中に、介護サービス利用者が地域住民との交流や地域活動、外部企業等と連携した有償ボランティアなどの社会参加活動に参加することができるデイサービスのことで、一言で言えば「働くデイサービス」。
「認知症や介護が必要な状態になっても、仕事がしたい!」
デイサービスに通うだけではなく、働くことを基本に、集まる仲間と一緒に働き、対価を得て、当たり前の日常生活を継続できるデイサービスです。
コンセプトは利用者から生活者へ
長谷川さん「にぎらないおにぎりカフェふくろうを始めたきっかけは、デイサービスのメンバーさん達と一緒に昼食を作っているときでした。美味しく綺麗にできあがったおにぎりを「誰かに食べさせたいね」「商売できるよ」と笑い話をしていたことがきっかけです。認知症になっても自分のやりたいことやできることを活かし、社会参加ができる居場所を作りたい!との思いから「にぎらないおにぎりカフェふくろう」は始まりました。5年目に入りますが、働くみなさんの生き生きとした姿を見ると、「始めてよかった」と思います。」
ー「ふくろう」の職員が心掛けていること
メンバーさんの「様々な機会を奪わない」こと。
ふくろうを立ち上げた頃は、「メンバーさんが転倒しないように」「誤飲してしまわないように」と危険を防止するために「座っていてくださいね」「ちょっと待っていてくださいね」と職員が先回りして声を掛けることも。
ですが、職員が先回りしてしまうことは、メンバーさんが「参加できる機会を奪ってしまうこと」
職員が先回りして危険を防ぐと「自宅のように自由に過ごしていただく」ことには繋がらないのではないか。
「ふくろう」に来てくださっているからこそ、「やりたいこと・できることができる場所にしたい」「自宅のように安心して過ごしていただきたい」
リスクをリスクと考えず、自由に安心して過ごせる居場所をつくるということは、メンバーさんのご家族の理解があってこそなのです。

おかってでお弁当の下ごしらえをするメンバーさんたち
メンバーさんたちの声
ふくろうのお弁当といえば、大きな唐揚げも醍醐味のひとつ。
これらの盛り付けを担当するのも、もちろんメンバーさんたち。
メンバーさん
「働くことが好きだから、今も仕事ができてとても嬉しいよ」
「みんなと一緒に仕事をすることが何より楽しい」
「みんなと一緒にたくさん話をして、コミュニケーションを大切にすることがみんなと仲良く楽しく仕事することに繋がるよ」
認知症になると、多くのことが分からなくなってしまうという偏見が未だにあります。
しかし、認知症になったからすべてが分からなくなるのではなく、分かることやできることはたくさんあります。
話をしているときは和やかな雰囲気のメンバーさんたちですが、仕事が始まると表情が一変し、仕事モードに。メンバーさんの、仕事に誇りを持ち、真摯に仕事に向き合う眼差しには、確かな光が宿っていました。認知症になっても好きなことを継続できる居場所があることで、いつまでも生き生きと暮らし続けることに繋がっているのかもしれません。
ほかにも、メンバーさんが「接客を通してお客さんと直接関われることが嬉しい」
「販売の帰りに、みんなでお寿司を食べに行ったり、ボーリングに行ったりすることが楽しみ」
など、みんなで働くことの先の楽しみについても語ってくださいました。

タルタルソースをのせて完成!

今日の副菜はマカロニサラダ

おにぎらずBOXに唐揚げを盛り付け

掃除機がけは念入りに
にぎらないおにぎりカフェふくろうの今後の展望
長谷川「地域に出て、企業の中で仕事をして給料をいただくこと。」
社会の中に自分の役割があることは、メンバーさんの大きな喜びに繋がります。
また、認知症がある方が生き生きと働き活動する姿を見せることで、高齢者や認知症に偏見をなくしていきたい、とも話してくださいました。
令和7年3月現在、ふくろうでは、月1回の「認知症カフェ」を開催。
認知症やものわすれに関する相談や交流の場として活用できる場所ですが、今後は、「料理も楽しめて気軽に相談ができるカフェ」としての開催も検討していくそう。
長谷川「認知症の相談」とあると中々行きづらいと思う方も、料理をきっかけに気軽に来ていただけたら嬉しいです。
長谷川さんの優しく包み込んでくれるようなお話に、柔らかいお人柄を感じます。
長谷川 「居場所を探している方へお伝えしたいことがあります。
はじめの一歩を動き出すことに不安があると思いますが、不安があるのはみんな一緒です。ここには、みんなと一緒に過ごすことができる居場所があります。同じ気持ちの方とお話してみるのもいいと思いますよ。」
ふくろうの皆さん、ありがとうございました。
公開日:2025年03月20日
