障がいをもっていても「できる」をつくる
障がいをもつ方の創作品の展示・グッズの製作と福祉とアートを融合した活動をしている「NPO法人はなのころ」。
障がいがあっても自分の好きなことを続け、夢を咲かせることができる。
そのような活動に取り組むはなのころは2024年11月にNPO法人となり、創作活動をする障がいをもつメンバーの活動場所、「居場所」となる新たな拠点です。実際にお邪魔し、NPO法人はなのころ理事長西山将弘(にしやままさひろ)さんにこれまでの活動や今後の展望について伺いました。
創作した作品を世界へ
はなのころの活動は大きく分けて4つあります。
1つ目が「はなのころギャラリー」。メンバーが制作したアート作品を展示・販売をして多くの方に見てもらえる機会をつくることにより、創作意欲を高め、生きがい・やりがいを生み出しています。ハワイアンズや古滝屋、いわき・ら・ら・ミュウ等に展示され、展示先の空間を明るく彩っています。
2つ目が「はなのころデザイン」。デジタルイラストを得意とするメンバーが団体等から依頼を受けて制作。県内外の社会福祉法人や病院などのキャラクターを作成しています。
3つ目が「はなのころショップ」。メンバーが表現した作品をグッズ化して多くの方に届ける取り組み。イラストが形になる喜びを体験。イベントでの販売やオンラインショップ、ハンドメイド作家たちとコラボレーションして、オリジナルのグッズを作ることもあります。さらにメンバーの作品でデザインしたバッグや洋服をつくるアパレルブランド「8756(ハチナナゴーロク)」。本格的なアパレルアイテム作りに挑戦中です。
4つ目が地域交流の場「はなのころパーク」。はなのころメンバーをはじめ障がいの有無に関係なく地域住民らと交流できるイベントの定期開催。それぞれの作品の発表の場となっています。

グッズ化されたメンバーの作品
障がい者の夢を咲かせる
障がい者の夢を咲かせようと考えたきっかけについて西山さんにお話をお聞きしました。「おじは精神障がいを患い30年以上ずっと病院で生活していました。社会から閉ざされた空間で人生の後半を過ごし、ある時、おじが肺炎に。お見舞いへ行くも、行くたびに病状が悪化。『水をくれ』『家に帰らせてくれ』と暴れだす始末。最終的におじは病院で亡くなりました。閉ざされた空間で30年以上過ごしたおじに、なぜ人生の最後ぐらい外の世界で好きな事をやらせられなかったのだろう。」障がい者に出会うたび、そのような後悔の念を抱いてきました。
西山さんは、そのような思いから「障がいがあっても好きな事を思いっきりやって、社会で夢をかなえてほしい」と、縁があった障がいをもつ2人と共に2020年4月に「はなのころ」の活動をスタートさせたそうです。

メンバーの作品をひとつずつ説明する西山さん(左)
気負わずにいられる場所
拠点に来ていたはなのころメンバーのお1人にお話をお聞きしました。
「はなのころが出来る前までは、それぞれ自宅で作品を描いてきました。これまでの活動を振り返ると、精神的な波もあり活動できるとき、できない時がありました。はなのころは、好きなときに描いて楽に活動できる『気負わずにいられる場所。』西山さん達がそんな環境を作ってくれていて助かります。」このような声からは、メンバーの活動しやすい環境を作ってきた西山さんが立てたはなのころの理念「障がい者の夢を咲かせる」を体現化している様子が感じ取れました。
はなのころの活動を知って
はなのころの活動を知った自閉症の子をもつ親から「展示されているメンバーの作品を見て障がいをもっていても『できる』と思えた。子どもにはなのころのチラシを見せたら絵を描きたいと言ってくれた。」との声も届いているそうです。はなのころの活動には、障がい者本人や、その親など多くの方をエンパワメントする効果があることがわかりました。

文字と野菜を描くメンバーの作品
活動を継続するための課題と今後の展望
現在のNPO法人はなのころの課題をお聞きしました。「現在のところ助成金で活動を行っている状況であり、助成金がなくても事業を運営していけるようなかたちにしていきたいですね。とは言え、安定した事業収入を得ることが難しく、就労継続支援B型として活動する案も出ました。しかし、就労継続支援B型として活動するとなると、利用者にサービスを当てはめる形となってしまい、はなのころの目指す自由な形で活動ができないと思っています。そのため、各事業を拡大し活動を行っていく必要がありますが、各事業を回していける責任者やリーダー的な存在がいないんです。」
また西山さんのもとへは、メンバーの悩みや不安により思い詰めた相談が舞い込んでくることがあるそうです。「複数のメンバーからの悩みを受け止めきれず、自分自身も気持ちが落ち込んでしまうことも。相談員的立ち位置の職員もいたら助かります。」と本人の思いを尊重することと事業として成立させることの難しさが垣間見えました。このような状況ですが、「絵やデザインだけではなく、ダンスや音楽などを表現できる場所を作り出したい。絵の製作以外の選択肢を増やし支援していきたい。」
「今後は、はなのころを地域の居場所の選択肢として提供していきたい。SNSも良いけど対面でかかわることの喜びや楽しさを新たなはなのころの拠点で感じてほしい。この活動を通していわきの芸術、福祉を盛り上げていきたい。」と障がいがあってもそれぞれの好きなことに価値を創出しようとする西山さんの熱い思いを聞かせていただきました。

メンバーの作品でデザインしたバッグや洋服をつくるアパレルブランド「8756(ハチナナゴーロク)」の作品
公開日:2026年01月25日





