どんなことをしているの?
平上荒川に平成31年4月オープン。毎週木曜日、12時から営業しているコミュニティ食堂。代金は投げ銭制。毎週水曜日11時からは認知症の本人やその家族が抱える思いを共有したり、専門職に相談したりすることができる「オレンジカフェ」を開催。月に2回(第2・4金曜日)は夜のオレンジカフェと称して、昼に来られない方、夜のお出かけを楽しみたい方などに向けて17時から開催している。お弁当のテイクアウトの予約も受け付けており、注文を受けて一度に50~60食分作ることもある。素材を活かした料理はどれも人気だが、特に評判がいいメニューは「おからサラダ」と「揚げたての野菜の天ぷら」。野菜を使った健康的なメニューが並ぶ。

夜のオレンジカフェの風景
活動するメンバー
キッチンに立つ代表・中崎とし江(なかざき としえ)さんは、普段は障がい事業所を運営している。他のスタッフもケアマネジャーの有資格者など、福祉現場での経験が豊富なメンバーが揃っている。いつだれキッチンを訪れたお客さんに気になることがあれば、それぞれが持つネットワークを活用し、福祉の専門職に繋ぐこともできる。調理担当、ホール担当とおおまかな役割は決まっているが、「これやって」と言われなくても皆周りを見て臨機応変に動く。
活動を始めたきっかけ
中崎さんには、今は亡き7歳下のダウン症の弟がおり、元々福祉が身近な環境で育った。彼らの居場所を作りたいとの思いから、NPO法人を作り、障がい者が創作活動や生産活動をしながら社会との交流を図る場「地域活動支援センター」を立ち上げた。
それからしばらくして、自らが運営する事業所に通っていた支援に難しさを感じていた軽度知的障がいを持つ女性の支援会議で、福祉部門を担当する市職員や地域包括支援センター職員との出会いがあった。その軽度知的障がいを持つ女性ができることや居場所を市職員、地域包括支援センター職員らと考える中で、その女性と一緒に料理をした経験がきっかけとなり、「食」に関する居場所づくりを考え始めた。
障がい者手帳が取れない人、65歳以上でも要支援・要介護認定に該当しない人、障がいと介護の狭間にいる人など、誰もが来られる居場所にしたいという想いから、いつでも、だれでもがコンセプトの「いつだれキッチン」を始めた。

素材の味を生かした料理が並ぶ
心掛けていること
自身が豪雪地帯で生まれ育ったため、特に冬場に食べる野菜の確保には苦労した経験がある。野菜を「大切にする」「余らせることは勿体ない」の精神が根付いており、硬いところがあれば蒸して柔らかくするなど、どんな物でも食べられるように工夫する。
いつだれキッチンで使用する食材は、企業から提供された余剰野菜やスーパーのフードドライブボックスに寄せられた未利用食品、個人から直接寄付された食料によって賄われている。「いただいた食材で何を作るか、組み合わせを考えて料理を作ることはとても楽しい。」と目を輝かせる。
大事にしていることは「普段からアンテナを高くすること」。ダウン症の弟、支援していた女性、地域包括支援センター職員、市職員との出会い、自らが豪雪地帯で生まれ育ったこと・・・これまでの人生で出会った人、経験を大事にしている。それらが組み合わさったことで現在の形に繋がっている。

栄養満点のお弁当、この日のメインはメンチカツ
今後の展望について
居場所を探している本人が最初からここに辿り着くことは難しい。「まずはケアマネジャーなど支援者の方に知ってもらって、支援者が彼らを連れて一緒に来てほしい」とメッセージを送る。ここに来る方の中には、高齢の父親とひきこもりの息子の「8050世帯」に属する高齢の父親もいる。「将来、親が亡くなったら社会とのつながりもなくなる。これからはそのような人がもっと増えて来ると思う」と話す。ここ最近は生活に困窮している方が来ることが多いように感じている。
いつだれキッチンの活動に興味を持った方が見学に来ることもある。彼らに対しては、「まずは一歩踏み出すことが大事、必要な物は後からついてくるし、色々広がってくるから。」と伝えている。
今後について尋ねると、「先のことは考えていない。必要なければ終わる、必要なものはずっと続く。それでいい。」ときっぱりと答えてくれた。

みんなで協力して焼きそばづくり!
食べるという支援
私たちにできることは、食材の寄付の他、いつだれキッチンで一緒にご飯を食べること。投げ銭はいつだれキッチンを運営していくための貴重な収入源になる。一度、いつだれキッチンに足を運んで、お腹いっぱい食べてみてはどうか。
食をきっかけとして様々な人が集う居場所になったいつだれキッチン。中崎さんの「食の力は場所の力」という言葉が印象に残った。
公開日:2026年02月09日





