続・買い物のまわりにあるもの

第6回泉ヶ丘地区小地域ケア会議


 

 

 

11月9日、地域密着型特別養護老人ホーム「寿楽」内のスペースで第6回泉ヶ丘地区小地域ケア会議が開催されました。議題は先月4回にわたって実証事業を行った「買い物支援」についてです。司会は小名浜地域包括支援センター・泉サブセンターの森川誠司さん。

 

実証事業についてはWEBいごくでも詳しくレポートさせていただきました。こちらの記事も併せてご参照ください。今回はその続編となります。まずは参加者の感想などの報告、その後、出席者(関係各団体)から忌憚のない意見が出されました。

 

買い物のまわりにあるもの

 

 

それではまず、書面で報告された参加者の感想やそれぞれの様子から見ていきましょう。参加者のみなさんはいずれも泉ケ丘ハイタウンで一人暮らしをされている方です。

 

 

参加者① Aさん

2回目と3回目に参加。「楽しく参加できた。本格始動したら参加希望する」との意向。別居家族は高齢での運転を心配しており、免許返納を望んでいるが、本人は受診や買い物時に自家用車の運転を継続している。

 

参加者② Bさん

4回すべて参加。唯一の男性参加者のためか、前半は他参加者と談笑する姿が見られなかったが、3回目以降は会話する姿も見られた。マルト、ヨークベニマルどちらの店舗でも「何を買ったらいいかな」とやや戸惑いながらも、しっかり商品を選んで好みの品を購入されていた。ヨークベニマルは店舗面積が広いため、買物後に待ち合わせ場所が分からなくなり、別場所へ行く姿を職員が見つけ誘導した。普段は買い物を息子夫妻に任せているため、自ら買い物へ行くのも数年ぶり。「一人では出かけることも無かった。買い物は運動にもなる。どこに何があるのかなど頭も使うのでいい」と話されていた。

 

参加者③ Cさん

4回すべて参加。普段から自家用車を運転し買い物をしているため、毎回買い物する量はそれほど多くなかった。買い物時間も最短。しかし以前から免許返納について考えており、本事業が返納の足掛かりになればと考えている。マイクロバス内では、他参加者やスタッフと楽しく談笑されていた。「新たに同年代の方たちと交流することが出来て楽しく利用できました」との感想。

 

参加者④ Dさん

4回すべて参加。食料や日用品の買い物のほか「通販代金の支払い」を店舗サービスカウンターで行っていた。「買い物ついでに支払いも出来てとても助かる」と話されていたのが印象的。これまでは徒歩またはバスやタクシーを利用していたが、身体的・経済的な負担が大きかったとのこと。いつも以上におしゃれに気を遣うなどして参加されていた。「もっと利用してくれる人が増えるとうれしいですね」との意見。

 

 

家族の意向、免許返納の問題、普段利用しているサービスとの兼ね合いなど、当然ですが一人一人ケースが違います。その中でも印象的だった感想をまとめると以下のものがあげられでしょうか。

 

・一人では出かけることも無かった。

・買い物は運動になる。どこに何があるのかなど頭も使うのでいい。

・この事業が免許返納の足掛かりになればと考えている。

・新たに同年代の方たちと交流することが出来た。

・買い物ついでに支払いも出来てとても助かる。

・いつも以上におしゃれに気を遣った。

 

 

 

続いて、やはり書面で共有された協力事業者の感想や意見を見ていきましょう。

 

 

事業者 有限会社ケイアンドワイ

・高齢者の暮らしを支えることにより地域貢献に繋がる事業に参加出来て良かった。

・地域との交流の場となり、楽しい時間を過ごされているように感じた。

・売り場が広い店舗では見守り支援が難しい。

・自立されている方の見守りは問題なかったが、要介護者の同行は難しいと思われる。

・この事業に関しては、自立されている方の支援が望ましいと思う。

・ご家族の意見も伺いたい。(他者との交流、運動のために良い、同じものを買ってくる、使いきれず捨てている等) 

 

事業者② 社会福祉法人葵会

・参加者から否定的な声もなく、最初は緊張していたが徐々に会話が増え、見知らぬ利用者同士の楽しみにつながったようで良かった。

・ルールやマニュアル整備が必要。

・閉じこもりがちな高齢者の外出のきっかけにつなげられたらと思うので続けていければ。

・乗車定員や支援する人数などを考えると一回の利用者は4~5人が限度。支援者は最低2人必要だろう。

・利用対象者としては、ある程度自立した方を選定する必要があるだろう。要介護者の場合、常時付き添いが必要となり、他の利用者の見守りが不可能となる。

・事業所としては今回の時間帯および月2回であれば対応可能。曜日については出来れば金曜日を希望。

・参加者の目印になるようなもの(バッジやシール、ネームストラップなど)があれば支援する側が迷わずに済む。

・買い物終了後の荷物を入れるカゴや箱などを準備してはどうか。

・対応できる人数と回数が限られるため、今後募集した際にはその選定が重要。買い物支援利用票のようなものを作成すれば、まんべんなく、人数も多く参加できるのではないか。

 

 

 

 

 

以上を踏まえて協議がスタート。頭が汗をかくような、有意義で活発な議論が行われました。煩雑になるかもしれませんがいずれも重要な論点だと思いますので、以下、その要点を列記します。

 

 

 

① 民生委員

・アンケート調査時に「今は必要ない」と返答した方からも今後利用希望が上がることが予測される。利用者の基準を明確にしておかないと、民生委員に苦情が寄せられる可能性がある。

・実証事業に参加した4名は再開を待っている、早く再開してあげられないか。

 

② 自治会

・この事業の取り組みに感謝する。

・バス停が少ないため増やして欲しいという要望も自治会に上がってくるが、運行時間の増加や経費への影響もあり難しい。実際の乗車率は低いため今後バス路線が廃止になる可能性もある。

・本格実施となればチラシ回覧などの協力はできる。

 

③ 事業所

・利用者の基準を明確にすべき。

・店舗とも話し合い、より協力を得られるような仕組みを検討すべきではないか。

・福祉事業所が関わるということは介護の目線で対応することであり、その目線は活かしていきたい。

・同じ商品を何個も購入しようとする参加者がいたので、別居家族とも情報共有が必要なのではないか。

・今後を考えると他事業所へも参加協力を要請してほしい。

 

④ 地域包括支援センター

・地域の課題に地域で取り組むことがこの事業の始まりであり、事業所の無償協力(車両・ドライバー)にご理解をいただきたい。

・本格実施の場合、年度ごとに区切りを設けて検証をしていく方法が望ましい。

・付き添いに関しては、社協のボランティア登録者や、福祉職で関心のある人などの協力を得る方法も検討が必要だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の出席者より本格実施への承認が得られたため、今後の方針としては、実行委員会を立ち上げ、改めて対象者の選定基準の検討や規約の作成等を事務局として対応していくこととなりました。

 

私たちigokuでは今後もこの「買い物支援」の取り組みを追いかけていきたいと思っております。続報をお待ちください。

(終)

 

 

 

 

 


公開日:2021年11月16日

泉ヶ丘買い物支援事業

移動手段の提供とあわせて、買い物に出かけることへの動機づけや買い物を支援するサービスを提供し、住み慣れた地域で、高齢者がこれからも安心して暮らせる生活環境を整えていこうという事業。